ぽんのこつ

青年海外協力隊ソロモン看護師隊員の備忘録です。

アドベンチャーと怪我

NCDスクリーニングツアー2019第一弾はイーストマキラのWainoni地方へ2週間。

スクリーニングツアーでは各村を回って30歳以上を対象に

身長、体重、BMI、血圧、血糖値をチェックして保健指導をひとりひとりに行います。


森を歩いたり、川を渡ったり、海でトイレは通常営業ですが、

はじめに滞在したKarieのアドベンチャー度がこれまでとは桁違いでした。

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滞在3日目の金曜日、

丘の向こうの隣の村まで歩いて行くよと言われ向かった先は、

崖。

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全然道が分からない。

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そこを赤ちゃんを抱えてひょいひょい登るソロモンの母、強し。

平地を歩くのは遅いのに、けもの道ではとたんにスタスタ歩くみんなに着いて行くのに必死。

2回くらい尻もちをつき、途中からは写真を撮る余裕もなくなりました。

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この岸壁から下の荒ぶる海に落ちたら絶対普通に死ぬのに、

隣の村の子供たちは学校に通うため毎日この崖を超えてきてるそう。

すごい。

 

やっと到着した村では、スクリーニング検査の後でちびっ子たちに折り紙教室して、おばあちゃんと一緒に昼寝して夕方帰路に。

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帰り道に子供たちに連れてかれたのが、行きは通らなかったこの岩。

ここを登って崖を超えるのが早いと。えー。f:id:hikari0408:20190612215238j:image

案内のおじさんが引っ張りあげてくれたけど、

案の定最初の一歩で足を滑らせて落ちて岩にぶつけて左足のスネをがっつり切って流血。

すぐにお姉さんが小さな丸い石を持ってきて、

傷口に当てながら傷が大きくならないようにとおまじない。

その時はさほど痛くもないし、傷も小さかったのでまた恐る恐る崖を超えて無事に帰宅。

傷口を洗って絆創膏貼って就寝。


で、翌朝起きてみたら傷口の周辺が腫れてて、痛い。

足をやや引きずりながらボートに乗って次の村Maniateへ移動。

お昼頃からスクリーニングを始めて、夕方にはだいたい終了したものの、

どんどん腫れが広がる足、強まる痛み、発熱、頭痛…。

とりあえず解熱鎮痛剤と抗生剤を内服してまたボートで次の村Runagaへ。

その日は水浴びもせず夕飯も食べず就寝。

悪寒と患部の熱感がすごくてちょこちょこ目覚める。


翌朝日曜日、全体がパンパンに腫れた下肢と尋常じゃない痛み。

隣で寝てくれてた村の女の子の肩をかりて、トイレ(草むら)へ。

1人では歩くのもままならないので、その日は1日寝てろと言われお言葉に甘えさせてもらい1人健診を休むことに。

村のおばちゃんたちが代わる代わるきて、足をさすってくれたり、洗濯してくれたり、ご飯を作ってくれたり、お茶を入れてくれたり。

薬飲んで1日寝てたら少しは良くなるでしょーって思ってたら、夕方になるにつれどんどん強くなる腫れと痛み。

鼠径部まで痛くなりこりゃ結構な感染だわとしょんぼりするわたしを哀れんだ村のおばちゃんたちが、治るようお祈りしてくる!と行って教会に行ってきてくれました。

この村はSSECという宗派で日曜の礼拝のときにはマイクを持ったボーカル、ギター、キーボード、ドラムといったバンドがいてみんなで大合唱します。


で、お祈りから戻ってきたおばちゃんが言うには、Karieでずいぶん前に亡くなったおばあさんの霊がわたしに取り憑いてるのが視えたと。

なんでもそのおばあちゃん霊はホワイトマン(日に焼けた黄色人種ですがソロモンではホワイト)を見たのが初めてで、憑いてきちゃったんだとか。

でも私たちがお祈りするから大丈夫!と励まされ、部屋の中央に座らせられるわたし。

わたしを取り囲んで立つソロモンのおばちゃん10人とギターを持った青年。

始まる大合唱。

からのわたしの隣にいるらしいおばあちゃん霊に浴びせられる怒号。

「出て行け!帰れ!神がみてるぞ!」などとみんな口々に叫ぶ。また大合唱。

ここら辺で、不安と痛みに加えて汗だくになりながら一生懸命お祈りの言葉を叫んでくれるおばちゃんたちの優しさに泣く。

号泣のせいか発熱のせいかみんなの怒号のせいか頭がとてもぼーっとした。

最後は1人のおばちゃんがわたしの足に触れ、その場にいる全員が手を繋いでhearing pray。

思わず私も神さま助けてーと祈る。
腫れも痛みも変わらないけど、号泣したからか不安な気持ちは少しは落ち着いて、なるほど信仰って大事だなーと実感。


そして何より昨日の夕方に村にきてから寝てるだけの見ず知らずの日本人をせっせとお世話してくれて、あんなに一生懸命みんなでお祈りしてくれるソロモンの人たちの優しさと暖かさには感謝しかありません。


そのあとはおばちゃん4人に交替でおんぶしてもらいながら300Mほど離れた場所にあるサンビス(トイレ)へ。申し訳ない。


こんな状況では働けないどころか足手まといでしかないので、とりあえず1人先に家の中にトイレがあるキラキラに帰ることになり、翌月曜日の朝にボートで帰ってきました。

村のおばちゃん2人が付き添ってくれて、ボートや迎えにきた病院のトラックの乗り降りは始終お姫様抱っこ。

ちょうどこの日はWitness Mondayの祝日で病院では血液検査やレントゲン検査はできず…でも偶然居合わせた医師の診察は受けることができ、破傷風ワクチンの接種と抗生剤の継続内服と自宅安静を言い渡される。

JICAの健康管理員さんに状況報告をして、とりあえず内服の継続と明日の朝血液検査とレントゲン検査を受けるようにと指示をもらう。


家に着いてトラックから抱えられて降りる私をみてお隣さんがきてくれて、洗濯やらご飯作りをしてくれることに。ありがたい、そして申し訳ない。
村には遠くにしか水道や川がなく、土、日と2日間水浴びができてなかったので、プラスチックの椅子を手押し車のように使って、どうにか水浴びをして休む。患部もやっとアイシング。

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下肢を動かしたり立ち上がったりして血流量が上がるたびに尋常じゃない刺すような痛みがありますが、寝てる分にはまあ大丈夫。

早く腫れが引いて歩けるようになりますように。