ぽんのこつ

青年海外協力隊ソロモン看護師隊員の備忘録です。

村での末期がん患者訪問と自宅出産

あけましておめでとうございます。
新年そうそう、なんかタイトルからごちゃごちゃしてますが。


ちょっと血のついた写真とかが出てくるので苦手な人は気をつけてください。

 

年明け初出勤は、具合の悪い患者がいるからと自宅訪問を依頼されて、NCDクリニックの2人(カウンターパートとわたし)で病院から車で10分弱の村へ行きました。患者さんは多分、肝臓がんの末期で、腹水による腹部緊満感と倦怠感と黄疸と皮膚の掻痒感…
キラキラ病院じゃ肝機能検査も生検もガンの確定診断もできないし、腹水穿刺もできないし、なんなら肝庇護薬すらない…と思う。前にキラキラ病院の薬局で肝臓の薬は何が置いてあるのかって聞いたときはないって言われたので。

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もしかしたらこのごちゃごちゃした薬剤部のどこかにはあるかもしれないけど、薬剤師が把握してないくらいだから、たとえあってもきっと使用期限が切れてる。ウルソとかリーバクトとかアミノレバンってソロモンにあるんだろうか。


結局バイタルチェックと食事のアドバイスと肝性脳症への注意とあとで清拭用のハッカ油お裾分けしてあげるねって約束して引き上げてきました。なーんにもできないなー。

 

で、帰ろうとしたら別のお宅から子供が産まれそうだよーって呼ばれる。えー。
でとりあえず行ってみたら、これ。
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地面に産み落とされた新生児。
出産が終わって疲労困憊の産婦。
オロオロする家族。
苦笑いのカウンターパート。おい。

 

ウォーターメディシンと呼ばれる陣痛促進作用のあるカスタムメディシン(民間療法の薬草)を使ったらしいです。恐るべし。
村でよく使われているこのウォーターメディシンが曲者で、BBA(Birth Before Arrive:病院にたどり着く前に出産)の主な原因だとか子宮口が6cmなのを看護師が確認した5分後に出産したとかいう話を聞きます。

 

とりあえず地面に放置された赤ちゃんともちろん繋がったままの胎盤を布で包んでわたしが抱っこして、産婦さんも車に乗せて一緒に病院へ。
ナース服は血まみれになったけど、無事に産科病棟に受け渡し。

 

地面に産み落とされてから1番最初に日本人に抱っこされた赤ん坊なんてソロモンでは初めてじゃないか!?記念にその日本人の名前貰おうぜ!
と、よく分かんない記念で家族が勝手に盛り上がってたそうですが、赤ちゃんは男の子だったので普通のソロモンの名前をつけられてました。よかったね。